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百合ヶ浜より　大塚はつみ

2011年1月31日 ｜ 開発室より

百合ヶ浜総合病院・内科病棟主任看護師、大塚はつみです。























昨今の潜在看護師問題に関係して、当院の各病棟でも
看護師確保は目下の最大の問題です。
内科病棟にも新人が入ってこの子をいかに
看護業界から離れさせずに、ベテランナースに
育て上げられるかが……。

…………。

あ、そういう話はここではいいのですか……。
大事な問題なんですが……そうですか……。

では、改めて自己紹介を。
百合ヶ浜総合病院・内科病棟主任、大塚はつみです。
…………。
どうしましょう、それ以外に話すことがありません。

はい？
わたしの私生活、ですか？

私生活は普通です。
普通に寮生活をしています。

病棟主任という立場もあるので、仕事を持ち帰ることも
多々あります。

内科病棟の看護師長の常盤が忙しい身ですので
勤務表を作るのもわたしの仕事です。
アナログで作るのは大変なので、勤務表を作るためだけに
パソコンを購入しました。
けれど、このパソコンの使い方が未だに良くわからなくて……。
誰かわたしの代わりに勤務表を作ってくれないかしらね……ふぅ。

…………。
ああ、どうしても仕事の話になってしまいますから
仕事の話をさせていただきますね。
内科病棟に、この４月に新たに入ってきた新卒の看護師がいます。

沢井さんという子なのですが、ちょっと面白い子です。
去年の４月に入ってきた藤沢さんとは面識があるようで
病棟でいつもワイワイ楽しそうに騒いでいます。
職場でなければ放っておくのですが、残念ながら病棟は神聖な職場。
ふたりまとめて指導するのが大変です。

藤沢さんという子は、知識はあるけれど、仕事に対して
少し積極性が足りない感じだったのだけれど、
沢井さんが来てからは、先輩としての責任と自覚に
目覚めてくれたみたいで、これはとても喜ばしいことです。

沢井さんも、藤沢さんに早く追いつきたいという情熱で
仕事に取り組んでくれているようで、内科病棟主任としては
この相乗効果を最大限に利用したいところです。

ただ、このふたりはまだ新人ゆえに、まだまだ未熟な面もあります。
内科病棟では小児科の患者さんも受け入れているのですが、
その患児たちにからかわれて、涙目になっていたり、
新しく入院してきた患者さんの堺さんと、本気で口論をしたり……。
たとえ新人でも、看護師という自覚を持って、もっと
冷静になってもらいたいのだけれど、１年目や２年目の子に
それを求めるのは酷というものなのかしら。

その辺は、わたしが外の病院から引き抜いてきた山之内さんが
先輩看護師として指導してくれているのですが……。
…………。
ここだけの話、少し不安が……。

……はい！？
その話をどこで、誰から耳にされたのですか！？

別にわたしの部屋は汚部屋ではありません！
散らかっているだけです！！

いえ、いいんです、わたしのことは！

ええ、もちろん、患者さんがベッド周辺を散らかしていたら
注意します、看護師として。
環境整備も看護師の仕事のひとつですからね！

でも、それとこれとは話が違います。
わたしは看護師として、病棟主任として百合ヶ浜総合病院に
求められているのですから、部屋が多少散らかっていても、
仕事さえきっちりできていれば、それでいいのではないでしょうか。

それに、これはわたしが、仕事とプライベートを
完璧に分けて考えていることの証拠にもなるのではないでしょうか。

……何か文句でも？

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